マムの基礎知識
マムのルーツ
マムとは菊の学名であるChrysanthemum(クリサンセマム)の略称で、ラテン語で「黄金の花」を意味という意味です。日本で古くから親しまれている菊の花が幕末に日本を訪れたイギリス人により本国へ持ち帰られ、イギリスを中心とした欧州で大ブームになり、革新的な品種改良が行われました。かの地でさまざま姿へと変化し、切り花ではスプレータイプになり、1980年代に菊ではなくマムという名前で、日本に還ってきました。そして、従来からある輪菊や小菊などと差別化するために、「マム」と呼んでいます。
日本でのマムの歩み
日本にマムが登場したのは、1980年代前半。海外での品種改良が進み、日本に導入されました。J F Dのある愛知県渥美町(現田原市)では1983年に栽培がはじまりました。とはいえ、その頃は白や黄色のシングル咲きのスプレータイプのみでした。その後、国内外でさらに品種改良が進み、風車タイプやアネモネ咲きなどのスプレーマムが生まれ、現在では多様な咲き方やスプレータイプのほかにディスバッドタイプの生産も増え、マムが今までの菊とは異なる表現ができる花材へと進化してきました。
Type
マムのタイプ
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スプレータイプ茎が枝分かれしいくつも花を咲きかせるタイプのことで、その咲き方がスプレーを噴射した様子に似ているため、スプレー(スプレーマム)と言います。マムは栽培の終盤まですべてスプレータイプで成長します。
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ディスバッドタイプディスバッドは英語で、Disbudと表記し、Disが「取り除く」、Budが「芽」という意味です。栽培の終盤に脇芽を取り除くことで、一輪の大きな花に仕立てる手法です。生産地の技術によりスプレータイプからディスバッドタイプに仕立てられています。
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サンティニタイプサンティニはスプレータイプのなかでも枝分かれが多くたくさんの花を付けます。
花も1〜2cm程でかわいらしい品種が多く、アレンジメントや花束に切り分けせず利用できます。海外ではマムのタイプとして確立されておりメジャーですが、日本ではスプレータイプとひとくくりになっていまることが多いです。
How to Bloom
咲き方
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シングル咲き
花びらが一重で、花の中心に目のような花芯が見える咲き方。スプレーマムとしてはスタンダードな咲き方です。
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アネモネ咲き
花びらは八重で、花の中心がアネモネの花のように盛り上がって咲きます。別名丁子咲きとも言われます。花の期間が長いうえに、花の変化も楽しめます。
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スパイダー咲き
筒状の花びらが多く、隙間なく咲きいている咲き方。スパイダーとは蜘蛛のことです。花びらが蜘蛛の巣のように放射状に広がるため、名付けられています。別名管(くだ)咲きとも言われています。日本に昔からある糸菊を想起させる、細長い花びらが特徴です。品種により、開花の形もさまざまです。
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デコラ咲き
花びらが何層にも重なる八重咲きで、花の中心が見えないほど花びらが詰まっている咲き方。デコラとはデコラティブ(decorative)の略です。花も大きく、開花した様子はゴージャスで華やかです。ディスバッドタイプのデコラ咲きは大輪ダリアのような趣です。
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ポンポン咲き
筒状の花びらが咲き揃うと、こんもりとした半球状になる咲き方。花の日持ちがよく、変化も少ないため、アレンジメントなどにも人気です。
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ピンポン咲き
ポンポン咲きをディスバッドタイプに仕立てたものをJFDではピンポン咲きと呼んでいます。ディスバッドにすることで、花がさらに球形になることと、もともと「ピンポンマム」という愛称でお花屋さんを中心に親しまれているためです。*ピンポンマムはジャパンアグリバイオ(株)により、商標登録されております。
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スプーン咲き
花びらの中央部が筒状になり、先端がスプーンのように広がっている咲き方。風車や花火のようなユニークな形です。日本では別名の風車咲きという名前が広く浸透しています。